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ツボ

東洋医学の世界では、臓器の新陳代謝や体熱の産生、病気予防等の作用を持つとされる気の存在を認めています。気は、経絡と言う目に見えない通路の中を流れており、身体には大きく14個の経絡があると考えられています。またそれぞれの経絡には、特異的な作用をもつ幾つかの経穴(ツボ)が存在します。

臨床を通じて思うことは、ツボの効果の不思議さです。ツボに鍼を刺すことで、その近くの部位に影響があるのは理解できますが、ツボから遠位の場所にある全く予想だにしない部位に作用を及ぼすことがあるのです。勿論東洋医学の生理観から考えると、その効果は十分に考えられることなのですが、実際に目の当たりにすると、その効果の不思議に驚くとともに古代の英知に感服いたします。

例えば脇腹にある帯脈(たいみゃく)と言うツボは、婦人科疾患、泌尿生殖器疾患、腰痛・腹痛等に効果があるとされていますが、母指の痛みにも効果があります。先日も、腱鞘炎のため母指から手首の関節にかけ痛みのある方が来院されましたが、帯脈に鍼を打つことで、すっかり痛みが消えてしまいました(実際の治療にあたっては、帯脈以外のツボにも鍼を打ちます)。

他にも足の親指にある隠白(いんぱく)と言うツボは、消化器疾患や足指痛のほか、止血(鼻血、機能性子宮出血、過多月経 等)にも効果があります。先日も過長月経に悩む方に隠白を打ったところ、翌月の月経期間は正常になりました。

丘墟と言う外側のくるぶしの近くにあるツボもとても興味深いです。
明治鍼灸大学(現明治穀菜医療大学)の矢野忠氏らは、1990年、ボランティアで募った健康成人男性10人に対して、右の丘墟穴に鍼を打ち、超音波診断装置で胆嚢の形態を測定しました。すると、胆嚢の断面積が優位に拡張しました。
鍼の刺激部位(丘墟)が、胆嚢の神経支配や血管支配を直接的に受けているところではないので、神経や血管という観点からはこの拡張を説明できません。また丘墟の少し上に位置するツボでは同じような効果は見られないので、反射でも説明できません。
このことから胆嚢の拡張は、丘墟の特異的な作用によるものと考えれます。
(参考 :「全日本鍼灸学会雑誌 四十巻四号」 )

勿論、全ての疾患・個人において上記のような効果が出るということはありませんが、それでもやはり、ツボの効果にはとても魅力を感じます。日常生活においても、せんねん灸などを買ってきて、自分で上手にツボ刺激ができれば、多くの方がより健康になるのではと思います。
by d_mitsuda | 2011-09-29 18:38 | はり灸


木の香治療院 院長日記


by d_mitsuda

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