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胎生学連続講座 (ひとが人になるプロセス) ~ その⑥

〇 胎盤の知られざる機能
前回のブログでも書きましたが、胎盤の胎児側の面は胎児ごとに異なった形をしています。ツェルム医師は長年の研究から、胎盤の形とその子供の人生 (どのような大人になるか)は相関があるのではと考えています。そのため母親には胎盤を写真に撮っておくよう、勧めているそうです。
胎盤の中には私たちを見守っている高次なものが存在しています。胎盤は私たち自身の最も高貴な部分であり、そのため私たちは誕生の時に死にいく胎盤を地球に返すのです。

ツェルム医師の師は、胎盤を「人間の失われた半分」と呼んでいました。
世界には胎盤に敬意を払っている文化・国がたくさんあります。3,000年前の古代エジプトでは、パラオに対するのと同様の敬意をパラオの胎盤に払っている様子が描かれている壁画が見つかっています。このようなことはアフリカでも見られます。またドイツのある地方では、200~300年前、胎盤の葬式を行う儀式がありました。
そのようなことを考えると、私たちは胎盤に対して新しい概念(価値観)が必要であると思います。

ツェルム医師の学生さんで、胎盤について卒業論文を書いた人がいました。その論文によると、胎盤の大きさ・重さにおいて、男女に違いはありませんでした。しかし長さについては若干、男児の方が長かったそうです。つまり男児は長い分だけ胎内でいたづらができ(動き回ることが出来)、一方首に絡まる危険性が高くなります。

動物の種類によって胎盤の形状が異なります。
牛などのヒヅメを持つ有蹄類は胎盤が球状です。肉食獣の胎盤は帯状、そしてネズミのようなげっ歯類の胎盤は点のような形をしています。

ここで生物の排泄物に着目してみます。排泄物には宇宙の力が残っています。バイオダイナミック農業では、牛の排泄物を牝牛の角に入れ、それを土の中に保管し堆肥を作成します。牛のような球状の胎盤を持つ動物の糞は宇宙の力がみなぎり、生命につなげることができます(農産物の生育に役立ちます)。一方ネズミのような点状の胎盤も持つ動物の排泄物では、宇宙の力が得られず、地球を耕すことができません。

〇 人間(臓器)の形成 ~ 心臓の形成
胎児の成長・発達(臓器の形成)において、世界の創世記に書かれている内容が現実の体内で起こっています。

受精後3週間が過ぎると将来、卵巣や精巣になる血液細胞と、心臓の元になるものが出来ます。その後暫くすると心臓の元になるものは上方に移動します。
22日目頃に血液循環が始まり、心臓の元があった場所に血液が集まり、そこに渦を巻くような血液循環が起こり心臓が形成されます。従って心臓は現代医学で言われるポンプのような存在ではありません。

チェルム医師から特に説明はありませんでしたが、「シュタイナー<からだの不思議>を語る」(イザラ書房)によると、心臓は血液循環全体を知る知覚器官との記述があります。「心臓は内的器官である。心臓と言う感覚器官を通して、体内で生起することを頭は全て知覚する」。
東洋医学では、腕の脈を診ることで体内の状態を判断しますが(脈診)、そんなことを考えると、シュタイナーの主張は正しいのかもしれませんね。

〇 出産
胎盤の(基底)脱落膜は特殊な筋肉の層で、毛細血管に富み、強力な血液循環が行われています。これは母親と胎児の代謝活動(胎児の成長・発達)を 行う上で必要となります。
胎盤の中には絨毛管腔と呼ばれる間隙が出来、ここに母体血が溜まります。そこに胎児から触手(絨毛)が伸び、栄養を吸収します。これはあたかも母親が小皿に食べ物を載せ、子供に与えている姿に見えます。
胎生学連続講座 (ひとが人になるプロセス) ~ その⑥_b0140293_21301198.jpg


出産は、子宮の筋肉が収縮することによって始まります。子宮の体積が小さくなり、胎盤にある切り取り線のようなものを基点にして、胎盤が剥がれ落ちます。子供が外界に出ることによって、胎盤が死ぬことを許可されるのです。

胎盤には先述したように強力な血液循環があるため、胎盤が剥がれる時出血が起こります。しかし胎盤が子宮内にあると子宮は十分な収縮をせず、胎盤が外に出た時に最大限の収縮が起きます。この収縮によって(更にはその他の化学物質も関与し)出血している血管が閉じ、出血がほぼ止まります。この時、収縮が十分でなく胎盤が外に出られない場合は、出血は止まりません。かつて母体が出産時に亡くなってしまった理由の一つがこれです。


以上、6回に亘り胎生学で学んだことを記述してきました。
実際には、これ以外にも興味深く貴重な内容は数多くあったのですが、私の理解不足のためうまく纏められず記述できませんでした。
いずれにしましても、一個の受精卵から一人の人間が形成されることに、生命の持つ不思議さ・神々しさを感ぜずにはいられません。
そんなことを考えると、神から与えられたこの命、家族・友人・回りの人、そして生きとし生ける全ての命をこれまで以上に大切にしていきたいと思います。

なおアントロポゾフィー医学における胎生学については、最近出版されました「発生学と世界の発生」(耕文舎)が大変参考になります。
by d_mitsuda | 2011-11-11 22:00 | 出産・育児


木の香治療院 院長日記


by d_mitsuda

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