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癌克服のために ~ 食事と心

癌は「生活習慣病」と言われるように、発症には食生活、精神状態(ストレス)が大きく関わっています。添加物まみれの食品、人間の食性(動物が必要とする食物のタイプ)に合わない食事、過度のストレスと言ったものは時間の経過と共に知らず知らずのうちに私たちの体を蝕み、(人によっては)癌細胞を形成してゆきます。しかしこれは、生活習慣を正すことで癌が快方に向かうことをも示唆しています。実際、生活を一新することで癌が治癒に至った症例も数多く報告されています。

そこで今日は、「食事」、「心(のあり方)」がどのように私たちの体に影響を与えているか、癌治療と言う局面においてどんな役割を果たしているのか、お話ししたいと思います。

パキスタンの北西部に位置する山岳地帯に、6000~7000mの山々に囲まれたフンザと言う地域があります。1974年まではフンザ王国と言われ、フンザ国王により統治されていました。1900年代初頭、フンザの人たちは世界で最も健康で優れた体格を持っている民と言われていました。彼らは60マイル(96Km)の道のりを一気に歩き、目的地での用が済むと、そのまま元来た96Kmの道のりを一気に帰って行きました。彼らは体力に優れるだけでなく、気立ても優しく明るくて、とても勤勉だったと当時のフンザ人に関する記録に残っています。

1904年から7年の間、ロバート・マッカリソン医師は、フンザから60マイル離れたギルギット管理区において外科医として勤務していました。フンザの人たちも時にはその診療所に訪れることがありましたが、治療に訪れる理由は、事故による怪我、瞼の形成手術等によるものだけであり、他の欧米諸国において多発していた胃潰瘍等の消化器疾患、癌、不安症と言った病気は皆無でした。マッカリンは、その違いは食事にあると推定しておりました。

1927年、マッカリンはねずみを使った実験を行いました。北西インドの人たち(フンザ人及びフンザ人と同じくらい健康と言われた民族であるシーク人、パサン人)が食べる食事内容を再現したもの(全粒粉で作ったチャパティーまたはパン、発芽した豆類、新鮮な生の人参とキャベツ、週1回の僅かの肉)を1189匹のねずみに与え、誕生から27ヶ月間(人間の55歳に相当)経過した時点で全てのねずみを殺し、解剖しました。その結果、肉眼的にも顕微鏡的にも全てのねずみに病気は全く見られず、また27ヶ月の間、自然死をしたものもありませんでした。

次にマッカリソンは、ベンガルやマドラスの一般的なインド人が通常食べている食事(米、豆類、野菜、香辛料)と同じものを、2243匹のねずみに与え観察しました。すると、副鼻腔炎、胃潰瘍、腸炎、眼球疾患、胃癌、腎臓病、卵巣炎、悪性貧血、心臓病等と言ったありとあらゆる病気が観察されました。更に後の実験で、ねずみにイギリスの貧しい階級の人たちが一般的に食べる食事(白パン、マーガリン、砂糖入りティー、茹でた野菜、缶詰肉、安物のジャム)を与えたところ、神経衰弱や成長低下が起こり、実験開始から16日目で共食いをするねずみも現れました。またフンザの食事を与えられたねずみは、実験期間中、流産したり、生まれたねずみが幼くして死亡することはありませんでしたが、ベンガルやイギリスの食事を与えられたねずみは、流産したり、子宮や卵巣が腫れたり、また出産しても幼くいうちに死ぬことが多々ありました。

フンザの人たちの食事と、一般的なインド人の食事・貧しい階級のイギリス人の食事との違いは何だったのでしょうか。一番の違いは、フンザの人たちは食物全体を食することにありました。例えば人参を食する場合、皮をむかず葉の部分まで食べる、小麦は全粒粉として食べる、野菜を煮た場合は煮汁まで吸うと言うことでした。更に食物を油で炒めると言ったことはせず、出来る限り素材の良さを損なわない調理法で料理していました。食物全体を食べることが大切であることの例は他にも沢山ありますが、もう一つ紹介いたします。

デンマークでは第一次大戦中、アメリカからの輸入穀物が封鎖されたため、これまで家畜の餌としていた穀物を人間の食事に回し、豚や牛を屠殺しました。そのため国民は肉食が減り、食事は緑色野菜、ジャガイモなどの根菜類、粗いフスマ(小麦をひいた時に残る皮のくず)の入った全体食パンへと移行しました。すると、それまでの平均死亡率が160だったのに対し、食事統制の厳しくなたった年では66まで減りました。

人間の食性を考えると、消化酵素がアミラーゼ活性が高いこと、そして咀嚼機能が草食動物の特徴を備えていること等から、ヒトはデンプン(米)を中心とした草食性だと言う事が分かります。
明治の頃、東京大学の教授だったベルツ博士は日本在留中、自分の抱えた車夫2人について肉食と菜食の優劣を比較するために、その2人に菜食(米、馬鈴薯、大麦、粟、ユリその他の野菜)を食べさせ、80Kgの巨躯を乗せ、毎日40Kmの道のりを走らせましたが、元気でそれに耐えました。今度は2人の車夫に肉食をさせたところ、2人は始めは喜んでいましたが、3日目頃から体が疲れて以前のように40Kmの道を曳いて走れないと言い出しました。そこで再び菜食に戻したところ、以前と同じように同様な耐久力を取り戻しました。

これは米食、野菜食の効果の一例ですが、食事を玄米・菜食に切り替えたことで、癌を始め婦人科疾患、多発性硬化症、その他様々な疾患が治癒した例は数多く報告されています。また1977年、アメリカのマクガバン報告において「癌・心臓病・糖尿病の原因は食生活である。食事は伝統的な日本食が理想であり、肉・玉子・乳製品・砂糖などの摂取を控え穀物中心の食生活をするべき」との見解が示されました。

ヒトの食性でも触れましたが、食事の基本は(玄)米・菜食です。そして食物の全体を食べること、身土不二(その土地で取れた旬のものを食べる)、そして素材の質を大事にする調理法(日本の伝統的な調理法)で料理した食事が健康の基本になります。勿論食材は出来る限り有機野菜を使います。それが難しい場合には、せめて日常使う醤油や味噌と言った調味料は、添加物や合成保存料の入っていない1年~3年ほど熟成させた本物の調味料を使うようにします。

なお玄米食を行う場合、良く噛んで食べる必要があります。あまり噛まずに飲み込むと、胃腸に過度の負担がかかり消化不良を起こすこともあります。そのような場合には、玄米のお粥にするか、3分づきや5分づきのお米にするが良いです。また玄米を炊く時に小豆とお塩を入れると、米が柔らかくなり玄米独特の匂いも消え、食べ易くなります。他には玄米を3日かけて発酵させる酵素玄米もあります。酵素に富み、完全栄養食であるため副菜は要りません。癌治療を目的に食餌療法をする場合には、酵素玄米をお勧めします。

ここまでは、食べ物の質について話してきましたが、健康な生活を送るにはを食事の量も大切な要素です。腸管造血説を唱え、様々な難病治癒に貢献してきた故千島喜久男博士は、食事の基本は3S(菜食、少食、咀嚼)の励行と述べています。菜食の重要性は上述した通りですが、十分に咀嚼することで食物が唾液アミラーゼとよく混和し、食塊は小さくなり胃腸の負担も少なくなります。

そして昔から「腹八分目は医者いらず」と言われるように、少食もまた大切な要素です。過食による肥満が、高血圧、糖尿病、心臓病の要因となることは周知のことです。大食は胃腸の負担を大きくし、消化液を希薄にして食物を腸内で腐敗させ、それが体内に吸収され様々な疾患を起こします。逆に腹八分目にすることは、腸内腐敗を防ぎ血液を浄化することに極めて必要なことです。千島博士は、数多くの基礎研究から、癌細胞も含め全ての細胞は血液(赤血球)から形成され、断食等の特殊な環境化においては、細胞は赤血球に戻ることを発見しました。つまり断食を行うことで血液は浄化され、癌細胞も血球に戻るのです。実際、断食や半断食を実践して末期の癌を克服した症例は多数報告されています。

先に(酵素)玄米・菜食による癌の食餌療法を述べましたが、玄米菜食に合わせ、少食(半断食等)の実践も良いと思われます(実際の断食に当たっては、断食道場等のきちんとした管理の下で行うことを勧めます)

最後に、食物の温度について述べたいと思います。私たちの免疫力は体温に依存します。免疫が正しく発揮されるには、体温が37~38度である必要があると言われています。冷たい飲食物を摂取すると、消化酵素が正しく機能する温度まで摂取した飲食物を体内で温める必要があり、それに多大なエネルギーが使われます。また腸管に冷たい物が入ると、腸管は機能低下を起こすことも各種研究から分かって来ました。しかもその量は50mlと言う僅かの飲物で起こります。更に、冷たいものが腸管に入ると、腸内細菌が腸管のパイエル板を通って体全体にばら撒かれ、細胞内のミトコンドリアが機能低下を引き起こし、免疫異常が起きて様々な疾患を発症させます。以上のことから、癌細胞に打ち勝つための免疫力をつけるには(免疫力を下げない為には)、冷たいものの飲食は絶対に避けるべきです。

以上、食事の大切さについて述べてきました。次回は、「心のあり方」についてお話したいと思います。

参考文献:
・「健康の輪」(日本有機農業研究会 発行 G・T・レンチ 著)
・「伝統食の復権―栄養素信仰の呪縛を解く」(東洋経済新報社 発行 島田彰夫 著)
・「血液と健康の知恵―医学革命の書」(地湧社 発行 千島喜久男 著)
・「自然療法が体を変える」(三笠書房 発行 東城百合子 著)
・「座禅断食」(ラダック基金 発行 野口法蔵 著)
・「粗食のすすめ 」(東洋経済新報社 発行 幕内秀夫 著)
・「究極の免疫力」(講談社インターナショナル発行 西原克成 著)
by d_mitsuda | 2008-06-28 00:35


木の香治療院 院長日記


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